4-1 考えよう、東京の森林

収穫しゅうかくどきをむかえた東京の森林


多摩地域の人工林で、植栽して何年後の森林が多いかを示すグラフ。植栽後5年目までの若い森林は133ヘクタールですが、6年目から10年目の森林は、37ヘクタールと最も少なく、高齢の森林になるにつれ面積が増えて、植栽後46年から50年の森林が最多の5387ヘクタールとなります。それより高齢の森林は、時間がたつものほど少なくなってゆきます。


東京には、約50年前に人の手で植えられた森林(人工林)が、たくさんあります。これは、戦後の経済発展(けいざいはってん)のために、建築材(けんちくざい)などの木材が多く求められるようになり、昭和30年~40年代に国の政策(せいさく)のもと、木材生産を目的とした人工林をふやすことが進められたからです。このころ、東京の山にもスギやヒノキがたくさん植えられ、長い時間をかけて育てられてきました。

そして今、東京の人工林のスギやヒノキの多くが、木材として利用できる時期をむかえていますが、多くの人工林は伐(き)られずにいます。

人工林では、木を植えたあとの手入れに、何十年もの長い時間と、多くの人手が必要です。その手入れにかかる費用は、木材を売ったお金でまかないます。しかし、外国から安い木材が大量に輸入されるようになると、国内の木材価格(かかく)が下がり、木を植えて手入れをしていく費用を準備(じゅんび)することができなくなりました。
このため、木材として利用できる時期がきても、伐られない人工林がふえているのです。


スギの二酸化炭素吸収量は、植栽後10数年伸びて落ち着き、30年を過ぎると大きく減少します。また、この頃には雄花をたくさんつけるようになります。出典:「平成16年度 森林・林業白書」「スギ花粉動態調査平成元年度報告書」(林野庁)

大きくなったスギと若いスギの、二酸化炭素吸収量比較図

スギは植えてから30年をこえると雄花(おばな)をたくさん付けるようになるため、作られる花粉の量もふえていきます。 東京の人工林にあるスギの多くは、植えてから50年以上たっているため、花粉の量も多くなっています。

また、成長がさかんな若いスギは、二酸化炭素(にさんかたんそ)をたくさん吸収(きゅうしゅう)しますが、木を植えてから30年以上たつと二酸化炭素を吸収する量がへります。

ひろがり続けるニホンジカ


ニホンジカは日本で生息(せいそく)するほ乳類(ほにゅうるい)の中では大型の動物で、草や木の枝葉(えだは)、樹皮(じゅひ)など、ほとんどの植物をたくさん食べます。なわばりを持たず、長い距離(きょり)を移動(いどう)する能力(のうりょく)があります。

もともと日本の山野に生息していましたが、近年、頭数がふえたことにより、全国的に森林や植物への被害(ひがい)が多くみられるようになりました。

東京の森林でも、ニホンジカの増加(ぞうか)により、植栽(しょくさい)した苗木(なえぎ)が食べられたり、森林内の植物が食べつくされる被害が発生しました。

2004年(平成16年)には、ニホンジカに食べつくされた結果、夏でも草が生えない裸山(はだがやま)の状態(じょうたい)となり、その後の大雨で山くずれが発生しました。

これまでニホンジカは山奥(やまおく) の標高の高い所にいましたが、最近は標高の低いところまでおりてきており、ニホンジカの住む場所がひろがっています。

草や木がほとんどなく山肌がむき出しになった森林風景シカに植物を食べつくされ土がむき出しになった森林

苗木を食べるシカ

シカが木の皮をむいたあと(ヒノキ)